『NEWS立命』2014年10月1日

「毅然とせよ」大学に求む 立命館・今に向き合う会 結成

 教員8人の呼び掛けで、教育現場でのヘイトスピーチ(差別言論)やレイシズムに向き合う「立命館・今に向き合う会」が結成された。今年の1月、在日朝鮮人の女性講師がインターネット上でヘイトスピーチの被害にあったことをきっかけに発足。事件に対し大学側に毅然とした態度の表明を求めている。

立命大朝鮮人講師 署名疑惑事件
 昨年12月、在日朝鮮人女性講師が担当する授業において、学生団体の学生が朝鮮学校の高校無償化を求めるメッセージカードを配布した。その後受講生とみられる人物が署名を強要されたという虚偽の内容をTwitterに投稿。講師の実名も公開したため、今年の1月11日より講師に対するネット上の個人攻撃が相次いだ。

 事件を振り返り、「大学側がネット攻撃に屈しない態度を示してくれれば」と話す「立命館・今に向き合う会」共同代表の勝村誠教授(政策科学部)。女性講師への批判を受け、講師と大学側が話し合いを行った。大学側は講師から事情を聞き、攻撃に屈しないよう激励したという。だが翌日に大学側が出した声明文には、授業の事実経過とともに講師を指導したという文言も。さらに大学側は事件について謝罪したため、教職員から批判の声が上がった。教員8人は、声明書の撤回やヘイトスピーチに関する教育の見直しを求める要請書を2月に総長へ提出した。

 2度にわたる総長との懇談会の結果、大学は声明文を大学ホームページから削除し7月には今後の新たな取り組みを確認した。取り組みの内容は「ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みについて」に集約。しかし大学側の公式な発表には、9月25日現在至っていない。

安心できる環境作りを
 会は大学の公式発表までを見守るとともに、独自の活動に取り組む。また社会システム研究所アジア社会研究会と共催するヘイトスピーチの研究会を、10月9日にびわこ・くさつキャンパス(BKC)で開催することが決定している。
 ネット上への顔写真や実名の公開により、開講を不安視する女性講師。安心できる環境作りへ勝村教授は「大学側の事なかれ主義に対する批判はした。あとは一刻も早い取り組みの公表を」と話した。

共同通信社 2014年8月12日配信記事

教育現場を憎悪から守れ 立命館大教員らが会結成

 立命館大の教員8人が教育現場でのヘイトスピーチ(憎悪表現)を許さず、学問の自由を守ることを目指す有志の会を結成した。立命館大では今年、在日コリアンの女性講師がインターネット上でヘイトスピーチの攻撃にさらされる問題が発生。会は大学がこのような事態に際し、毅然(きぜん)とした態度を社会に表明することなどを求めていく。
 「大学はかくあるべきだという理念が消えつつある」「ヘイトスピーチの問題点を学生にどう教えたらよいか」。7月31日に衣笠キャンパス(京都市)で開かれた「立命館・今に向き合う会」の発足集会では、出席者から懸念の声が相次いだ。
 立命館大では作年12月、びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)での女性講師の授業後、学生団体が朝鮮学校の高校無償化を求める嘆願書を教室で配布。すると受講生とみられる人物が今年1月、署名を強要されたとの趣旨の虚偽の書き込みを講師の実名と共にツイッターに投稿した。
 その後、講師には「辞めろ」「日本から出て行け」などの中傷がネット上に相次いだ。これを受けて立命館大は「署名を求めたかのような誤解を与え不適切であり、講師を指導した」とする謝罪声明を出した。
 会の設立に携わった 立命館大の勝村誠(かつむら・まこと)コリア研究センター長は、声明が講師に対する激しい差別的攻撃に触れず、学内の討論もなく出されたことに「毅然とした対応をせず、大学のプライドを傷つけた」と批判する。
 雇用が不安定な非常勤講師らからは、歴史認識や植民地支配などのテーマを授業で扱って問題が起きたときに大学が守ってくれないのではないかという不安や、自主規制せざるを得ないとの声が寄せられたという。
 今年4月、授業中に慰安婦に関するドキュメンタリー映画を上映した広島大もネットで排外主義的な攻撃の標的となった。会は今後、他大学が被害に遭っても情報を共有し、支援できるよう関西大や同志社大の教員らとの連携も検討している。

立命館・今に向き合う会 趣意文

2014年1月に立命館大学びわこ・くさつキャンパスの教養科目「東アジアと朝鮮半島」をめぐってネット上で担当教員に対する激しい攻撃が展開された事件は、いまも記憶に新しいところです。この事件を受け、私たちは皆さんのご賛同も戴きながら、2月12日に学長宛に「立命館大学に声明文の撤回とヘイトスピーチへの毅然たる対応を求める要請書」を送りました。

私たちはこの「要請書」で大学に対して、

①大学が1月15日にホームページで公表した声明の撤回、
②大学として改めて毅然とした態度を社会的に表明すること、
③レイシズムやヘイトスピーチに関する教育研究に取り組むこと、の3点を求めました。

その後、二度に亘り川口総長との懇談会を持ち、①についてはホームページから削除、③については川口総長も「強く同意する」とし、具体的な取り組みについて意見交換ができました。意見交換の結果は、常任理事会文書「ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みについて」(2014年7月16日)にまとまりました。

その後、広島大学で起こった事件に見られるように、大学をはじめとする教育機関に対する攻撃は続いており、このままでは、いつどこで同様の事件が発生しても不思議ではありません。
重要なことは、できるだけ多くの大学が「学問の自由を守り、ヘイトスピーチや差別言動を許さない」という明確な意思を示すことだと私たちは考えます。すでに悲劇的な事件を経験した立命館大学には、その先頭に立ち、学問の自由と学生・教職員の人権を守るために、毅然とした態度を明確に示し、あらゆる大学および大学人に連帯を呼びかけることが今こそ求められています。

私たち「要請書」呼びかけ人一同は、ここに「立命館・今に向き合う会(向き合う会)」を結成し、引き続き立命館大学に対して毅然とした態度を社会的に表明することを求めるとともに、教育の場におけるヘイトスピーチ、差別、人権侵害に向き合う具体的な取り組みを積極的に推進していくことにしました。7 月31日に発足集会を開きます。立命館大学の多くのみなさんに本会への賛同を呼びかけます。発足集会にも奮ってご参集ください

会の活動
1)立命館大学に対してヘイトスピーチやレイシズムを許さない毅然とした態度を社会的に表明することを求めます。
2)立命館大学の各機関におけるヘイトスピーチやレイシズムに向き合う具体的な取り組みを見守り支援します。
3)「向き合う会」として独自に学術企画や教育方法に関する研究活動を進めます。
4)ヘイトスピーチや差別、人権侵害に向き合う大学間連携を進めます。

                                                     2014年7月21日

「立命館・今に向き合う会(向き合う会)」呼びかけ人

勝村誠、絹川浩敏、崎山政毅、鄭雅英、冨田美香、中川成美、西成彦、山下高行(五十音順)

立命館・今に向き合う会 賛同者一覧

「立命館・今に向き合う会」発足集会への賛同者は以下の通りです。(五十音順・敬称略)

【法学部・法務研究科】植松健一、小堀眞裕、徐勝、堀雅晴、松本克美、宮井雅明、吉田美喜夫
【産業社会学部】木田融男、山下高行
【国際関係学部】中本真生子、南野泰義、森岡真史
【政策科学部】勝村誠、上久保誠人
【文学部】庵逧由香、伊勢俊彦、宇野木洋、加國尚志、崎山政毅、中川成美、畑中敏之、三須祐介
【映像学部】宋基燦、冨田美香、朴真理子
【経済学部】稲葉和夫、金丸裕一、齋藤敏康、佐藤卓利、高屋和子、藤岡惇、松尾匡、松野周治 
【経営学部】石川亮太、絹川浩敏、佐藤典司、鄭雅英、兵藤友博
【理工学部】池田研介、城戸義明、永井清、藤家雪朗、和田浩史
【生命科学部】武田富美子
【スポーツ健康科学部】三浦正行
【先端総合学術研究科】立岩真也、西成彦、吉田寛
【非常勤講師】池内靖子、高橋慎一、中倉智徳、橋口昌治、裵姈美、堀江有里、森類臣
(以上、55人)

広島大学「今を考える会」からの連帯メッセージ

7月31日の「立命館・今に向き合う会」発足集会に向けて、広島大学の「今を考える会」から連帯のメッセージをいただきました。本当に心強いことです。以下に全文を掲載しておきます。

------< 転載開始 >------

「今に向き合う会」のみなさまへ

この度は、「今に向き合う会」の発足、おめでとうございます。
広島から、心からのエールを送ります。

「今に向き合う会」。正直、最初は、「今を考える会」ととてもよく似ているので驚きましたが、勝村さんの言葉「広大の名称を真似ていますが、歩調を合わせたいという意思だとご理解ください」を読んで本当に感動しました。
わたしたちが目指してきた横の連携がこうして具体的な形で現れたのです。

勝村さんが「今に向き合う会」の発足の知らせとともに伝えて下さった、今月の立命館大学理事会の動きには、大きな可能性を感じました。わたしたちが直面している、今ここにある危機を逆転する可能性を。
立命館大学は来年度から、教養の授業やFDや講演会などを通じて、ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みを具体的に実践しようとしています。また、学生たちのSNSの使い方に関するモラルを向上する教育も。

わたしたち「今を考える会」は、立命館大学理事会ならびに「今に向き合う会」の動きに大いに触発されて、ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みを、ここ広島大学でも具体的に実践していきたいと思います。
勝村さんをはじめとする立命館大学有志一同の踏ん張りに敬意を表すとともに、具体的なビジョンを示してくださったことに感謝いたします。

「今に向き合う会」と「今を考える会」。

今後も連携を取りながら、今に向き合い、今を考え、わたしたちが望む今を、切り拓いてゆきましょう。
学生たちに伝えたい今を、残してゆきましょう。
言論統制が強まり、立憲主義が危機にされている今を、逆転してゆきましょう。

しかし、その前に、わたしたちには、やらなくてはいけない大きな仕事があります。大学を復活させることです。

周知のように、今回の産経事件を受けて、広島大学は、学問の自由を侵害されました。これは残酷で辛い出来事に違いありません。しかしもっと辛いのは、財政的な圧迫によって自治を奪われ続けるなかで、学問の自由が侵害されているだけではなく、じつは、その学問の自由を守るべき主体が沈黙させられているという事実でした。学問の自由を守るべき共同体としての大学が瀕死の状態なのです。

広島大学は学問の自由を守るための毅然とした声明をいまだに学外的に示すことができていません。大学は、自治の精神ばかりでなく、学問の自由を守ることに無自覚であったために、内側から学問の自由を破壊する危険に満ちているのです。

今回の産経事件を通して、わたしたちは、この厳しい現実を決定的に突き付けられました。しかし、一方で、いまだ学問の自由への希求は失われておらず、本来の姿である「自由で平和な一つの大学」を取り戻す勇気を得たことも事実です。

お陰さまで、「今を考える会」は、400人を超える賛同者を募ることができました。それぞれの賛同メッセージを読むとき、これは、ただの400人ではなく、人間的に熱く、濃く、様々なキャラクターを持つ400人です。

大学は復活できる。

大学は瀕死の状態であっても、死んだわけではない。抵抗があり、それが逆転に繋がり、復活を生む。わたしたちはそのことを確かめました。
勇気づけられるとともに、逆転を予感します。そして、その予感を実現させなければなりません。これが、わたしたちの今です。

これから、長い闘いになります。
共に、粘り強く、クールに、かつ大胆に、そして楽しく、闘いましょう。

本日は「今に向き合う会」の発足、本当におめでとうございます。

2014年7月31日
「今を考える会」呼びかけ人一同

------< 転載終了 >------
会の目的

mukiaukai0731

Author:mukiaukai0731
①立命館大学に対してヘイトスピーチやレイシズムを許さない毅然とした態度を社会的に表明することを求めます。
②立命館大学の各機関におけるヘイトスピーチやレイシズムに向き合う具体的な取り組みを見守り支援します。
③「向き合う会」として独自に学術企画や教育方法に関する研究活動を進めます。
④ヘイトスピーチや差別、人権侵害に向き合う大学間連携を進めます。
【問い合わせ先】rits.mukiaukai.0731@gmail.com

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