10月25日_立命館土曜講座

10月25日に立命館土曜講座として木戸衛一さん(大阪大学)をお招きして「ヘイトスピーチとレイシズムを考えるーマルク・ブロック『歴史のための弁明』を手がかりに」と題する特別講演会を開催しました。

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この講演会の企画を担当したのは立命館コリア研究センターですが、私たち「立命館・今に向き合う会」の共同代表と大学執行部との懇談を契機として実現したものです。参加者は250人を上回りました。この問題に対する市民の関心の高さを示すものだと思います。

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木戸衛一さんの講演の骨子は以下の通りです。

・第二次大戦下のフランス
・第一次世界大戦開戦100周年
・マルク・ブロック
・『歴史のための弁明ー歴史家の仕事』
・マルク・ブロックの遺言状
・ナチスのヘイト・スピーチ
・蔓延する日本のヘイト・スピーチ
・日本に於けるヘイト・スピーチの背景
・新自由主義と新国家主義の相乗的昂進
・「日独枢軸」へのノスタルジー?
・歴史修正主義
・政治的資源としての「過去の克服」
・歴史の主観性・政治性
・自国・自民族中心主義史観克服の試み
・ステファン・エセル
・朝河貫一

講演会が終わった後も、約20人の方が会場に残られ、木戸衛一さんを囲んで小一時間、真剣な懇談が続きました。

熱のこもった、かつ、理路整然とした素晴らしい講演でしたので、ぜひ、何らかの形で記録を残したいと思います。

2014年10月25日 ヘイトスピーチとレイシズムを考える講演会

立命館大学土曜講座の枠組みで、以下の講演会を開催します。
この企画は、私たち「立命館・今に向き合う会」と学園執行部の懇談を通して実現したものです。
関心のあるみなさんのご参加をお待ちしております。

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立命館大学土曜講座
(第3111回) 【特別講演会】

ヘイトスピーチとレイシズムを考える-マルク・ブロック「歴史のための弁明」を手がかりに

大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授
木戸 衛一

 「パパ、だから歴史が何の役に立つのか説明してよ。」
 息子のこの問いに応えようと、フランス中世史の大家、マルク・ブロックは、歴史を研究する意味や歴史叙述のありようについて原稿を書き連ねました。当時、ナチス=ドイツの占領下にあって、ユダヤ系であるがゆえに大学からの退職を強いられる不遇の日々の中で綴られた『歴史のための弁明』は、ブロックが歴史家としての自己存在を証明した書です。
 今日東アジアでは、領土問題・領有紛争を背景に、ナショナリスティックな歴史観や、自国・自民族に不都合な史実をなかったことにする歴史修正主義が横行しています。歴史学を冒涜するこうした風潮に対し、私たちはどう立ち向かえばよいのでしょうか。
 ブロックは、1942年11月、対独レジスタンス運動に専念してリヨンの運動を指導、翌々年3月にゲスターポに逮捕され、激しい拷問の後、6月16日、29人の仲間とともに銃殺されました。ナチス=ドイツに抵抗して彼らが追い求めた理想を検証しつつ、歴史と社会のあり方を考えてみたいと思います。

ヘイトスピーチとレイシズムを考える
-マルク・ブロック「歴史のための弁明」を手がかりに

 大阪大学大学院国際公共政策研究科 准教授 木戸 衛一

日 時 : 毎週土曜日午後2時~4時
場 所 : 立命館大学衣笠キャンパス以学館1号ホール
主 催 : 立命館大学衣笠総合研究機構

電 話 : 075‐465‐8236

事務局:リサーチオフィス(衣笠)
TEL:075-465-8236(内線:511-2567) FAX:075-465-8342 (内線:511-2829)

※聴講無料・事前申込不要

※当日の入場状況によって、立ち見のお願い又は入場制限をさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。

[寄稿]勝村誠「ヘイトスピーチとレイシズムにいかに向き合うか」(『立命館の民主主義を考える会(元教員)NEWS』53号、2014年10月16日)

 去る1月11日(土)の午後であった。パソコンに電源を入れ、ネットにつなぎ、facebookにアクセスすると、ふだん「いいね」や「コメント」でお付き合いのある経済学部の金丸裕一先生から「こんにちは。もし、K先生の件でお力添えできるような事ありましたら、お伝え下さい」とのメッセージが。この一報をきっかけに、私はK先生がネット上で激しい攻撃の嵐にさらされている様を(パソコンのディスプレイを通してではあるが)目の当たりにし、暗鬱たる気分に落とし込まれた。そこで見た光景は、言葉によって一人の人間の存在を抹殺せんとする悪意の集合体であった。

 私は2005年の設立以来、立命館大学コリア研究センターにかかわってきた。K先生は若手研究者の一人として、つねづねセンターを見守り支援してくれている仲間であり、そのお仕事ぶり、お人柄を好ましく思っている。しかし、ネットではそのような人物像からはかけはなれた虚像がどんどん巨大化していた。だから、居ても立ってもいられなかった。最初はそんな気持ちだけだったというのが、正直なところである。

 K先生は2013年12月13日に、BKCで担当している講義「東アジアと朝鮮半島」(開講責任、理工学部)で、学生団体からの要請を受けて、朝鮮学校への高校無償化適用を求めるメッセージカードを配付した。授業の開講方針に合致する教材であると判断されたのである。大学が1月15日に公表した声明によれば、K先生は「署名は任意」、「署名と成績とは無関係」であり、カードは「学生団体の担当者が回収」すると受講生に「アナウンスをし」た。しかるに、年末年始休暇をはさんで4週間後の1月10日の授業時間中に、受講生と思われる人物が、あたかも「出席カードと引き換えに署名を強要された」かのようなツイート(つぶやき)をネット上に流し、それが、いわゆるネトウヨたちの目にとまって、一気に拡散したのである。

 ツイートした人物はなぜ4週間もたって事を起こしたのだろう。衝動的な行動ではない。ネットで拡散させる意図があったのかも謎である。しかし、在日朝鮮人の女性であると容易に推測できるK先生の実名をネット空間に流した罪は重い。私もネットで炎上した経験が2回あるが、それとは質が全く違う。マイノリティの属性を理由に攻撃のターゲットとし、事実に反する人格攻撃を、匿名で、一方的かつ大量に行う行為は、そのマイノリティ集団に対する差別の敷居を低める意図を秘めている。例えば「在日講師をクビにしろ」との短いコメントは、小さな悪意や悪ふざけから、気軽に入力・送信したものかもしれないが、それが何千と集合することで、とてつもなく巨大な暴力の怪物へと化けていく。「ヘイトスピーチ」を「差別扇動」と訳すべきだという主張は、その悪意の本質をよく見抜いたものだ。

 しかも、K先生はネット上で、顔写真や間違った経歴情報も晒されたのである。逆の立場になって考えてみたら、それは「人としてやってはならないこと」だろうに、易々とやってのける人びとがネット空間で「暮らして」いる。それを助長する社会的風潮がある。

 悲劇的な事件から、はや歳月は過ぎ、「亀の歩み」ではあるが、私たちは7月31日に「立命館・今に向き合う会」という会を発足し、ヘイトスピーチとレイシズムに組織的かつ継続的に「向き合う」ことを決意した。会の活動の詳細はブログで公開しているので、ご参照いただきたい(http://mukiaukai.jp/)。

 その後、広島大学では大学の授業を言論機関が攻撃するという異常な事件が起こったが、私たちの会は広島大学の「今を考える会」とも連携している。10月8日には、会として教学担当常務理事との懇談を実施した。確たる成果はなかったけれど、協議のチャンネルは開かれたと思う。そして、翌10月9日にBKCで特別研究会を開催した(学生約30人を含む、50人が参加)。また、10月25日には立命館土曜講座でヘイトスピーチを考える特別講演会が開催されるので、ご参加いただきたい。この問題について、ともに真剣に考えていきましょう。

2014年10月9日_ 特別研究会「ヘイトスピーチとレイシズムを問う」@びわこ・くさつキャンパス

私たち「今に向き合う会」も共催して、こんな企画をやります。

     記

日時:2014年10月9日(木)16:30~18:30

場所:立命館大学びわこ・くさつキャンパス 
エポック立命21 大会議室(K309 3階)

主催:社会システム研究所アジア社会研究会
共催:コリア研究センター、拠点形成型R-GIRO研究プログラム
「オール立命館による学際統合型平和研究拠点」、立命館・今に向き合う会
後援:立命館大学教職員組合

挨拶:金丸裕一(立命館大学経済学部教授)
趣旨説明:勝村誠(立命館大学コリア研究センター長)

報告

1.中村一成(ジャーナリスト)
 「ヘイトスピーチの何が問題なのか―被害実態から考える―」

2.多田一路(立命館大学法学部教授)
「大学における政治的にセンシティブな問題と学問の自由
―私がしている憲法の授業―」

【趣旨】このたび、恒例の月例研究会をより拡大、深化させた特別研究会を開催することになった背景には、今年の1月に立命館大学のある講義をめぐり、受講生と思われる人物が事実をねじ曲げたツィートをしたことをきっかけに、担当教員が猛烈なネット攻撃の嵐にさらされた事件のことがあります。大学は1月15日にこの事件についての声明文を発表しましたが、その内容は、事実関係の確認結果とそれに対する対処の報告であり、併せて「結果として」「誤解を与え」たことは「大学として不適切であった」として講師を「指導」したうえで、社会的に「お詫び」をしてしまいました。また、同声明では、ネット空間における攻撃によって引き起こされた問題については一言も触れておらず、私たちはこの声明書によって立命館は大学としての矜持を自ら傷つけたと考えています。大学も被害者であり、担当教員と授業を守る立場にあったにもかかわらず、目前の「火消し」をするために、謝った素振りをしたのでした。自民党議員による文部科学省に対する問い合わせもその背後にありました。
 その後、この大学の声明文の問題性に危機意識を持つ学内教員9人が「立命館大学に声明文の撤回とヘイトスピーチへの毅然たる対応を求める要請書」への賛同署名を集めて、要請書を学長に送ったうえで、2回の総長との懇談会を行いました。総長は、私たちが求める「早急に声明書を撤回し、改めて毅然とした態度を表明すること」については、決断に至っていませんが、私たちの要請の「学生とともにレイシズムやヘイトスピーチについて深く考える教育研究に取り組むことを求める」とした点については、「強く同意する」、「具体的に取り組んでいく」と述べています。
 このような状況の下で、若手有志のみなさんが開催された師岡康子弁護士の講演会に続き、
コリア研究センターとしては、学内機関としていち早くヘイトスピーチやレイシズムについて考える機会を持ちたいと思い、5月28日に特別研究会を開催しました。そこでは、著書『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件 <ヘイトクライム>に抗して』(岩波書店、2014年)で悪質なヘイトクライムによる被害者の心理的傷がいかに深刻かをていねいに描いた中村一成氏に、ヘイトスピーチ/ヘイトクライムの問題について語っていただきました。また、元容鎮氏に、韓国における暴力的・排他的言説の問題を、脱北者に対するヘイトスピーチについて、多田一路氏には、憲法の授業での事例を通じて、大学の教育現場における政治的にセンシティブな問題と学問の自由について問題提起をしていただきました。
本研究会は5月28日の特別研究会に次ぐ第二弾として、中村氏と多田氏をBKCキャンパスにお招きし、議論をさらに深めるために企画したものです。
 ぜひとも多くの方々にお越しいただき、活発な議論を通じて現在の問題を共有したいと思いますので、ご参加よろしくお願いいたします。

立命館大学コリア研究センター 
〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1 Tel:075-466-3264 Fax:075-466-3247
Email:korea@st.ritsumei.ac.jp HP:http://ricks2005.com

『NEWS立命』2014年10月1日

「毅然とせよ」大学に求む 立命館・今に向き合う会 結成

 教員8人の呼び掛けで、教育現場でのヘイトスピーチ(差別言論)やレイシズムに向き合う「立命館・今に向き合う会」が結成された。今年の1月、在日朝鮮人の女性講師がインターネット上でヘイトスピーチの被害にあったことをきっかけに発足。事件に対し大学側に毅然とした態度の表明を求めている。

立命大朝鮮人講師 署名疑惑事件
 昨年12月、在日朝鮮人女性講師が担当する授業において、学生団体の学生が朝鮮学校の高校無償化を求めるメッセージカードを配布した。その後受講生とみられる人物が署名を強要されたという虚偽の内容をTwitterに投稿。講師の実名も公開したため、今年の1月11日より講師に対するネット上の個人攻撃が相次いだ。

 事件を振り返り、「大学側がネット攻撃に屈しない態度を示してくれれば」と話す「立命館・今に向き合う会」共同代表の勝村誠教授(政策科学部)。女性講師への批判を受け、講師と大学側が話し合いを行った。大学側は講師から事情を聞き、攻撃に屈しないよう激励したという。だが翌日に大学側が出した声明文には、授業の事実経過とともに講師を指導したという文言も。さらに大学側は事件について謝罪したため、教職員から批判の声が上がった。教員8人は、声明書の撤回やヘイトスピーチに関する教育の見直しを求める要請書を2月に総長へ提出した。

 2度にわたる総長との懇談会の結果、大学は声明文を大学ホームページから削除し7月には今後の新たな取り組みを確認した。取り組みの内容は「ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みについて」に集約。しかし大学側の公式な発表には、9月25日現在至っていない。

安心できる環境作りを
 会は大学の公式発表までを見守るとともに、独自の活動に取り組む。また社会システム研究所アジア社会研究会と共催するヘイトスピーチの研究会を、10月9日にびわこ・くさつキャンパス(BKC)で開催することが決定している。
 ネット上への顔写真や実名の公開により、開講を不安視する女性講師。安心できる環境作りへ勝村教授は「大学側の事なかれ主義に対する批判はした。あとは一刻も早い取り組みの公表を」と話した。
会の目的

mukiaukai0731

Author:mukiaukai0731
①立命館大学に対してヘイトスピーチやレイシズムを許さない毅然とした態度を社会的に表明することを求めます。
②立命館大学の各機関におけるヘイトスピーチやレイシズムに向き合う具体的な取り組みを見守り支援します。
③「向き合う会」として独自に学術企画や教育方法に関する研究活動を進めます。
④ヘイトスピーチや差別、人権侵害に向き合う大学間連携を進めます。
【問い合わせ先】rits.mukiaukai.0731@gmail.com

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