立命館・今に向き合う会 趣意文

2014年1月に立命館大学びわこ・くさつキャンパスの教養科目「東アジアと朝鮮半島」をめぐってネット上で担当教員に対する激しい攻撃が展開された事件は、いまも記憶に新しいところです。この事件を受け、私たちは皆さんのご賛同も戴きながら、2月12日に学長宛に「立命館大学に声明文の撤回とヘイトスピーチへの毅然たる対応を求める要請書」を送りました。

私たちはこの「要請書」で大学に対して、

①大学が1月15日にホームページで公表した声明の撤回、
②大学として改めて毅然とした態度を社会的に表明すること、
③レイシズムやヘイトスピーチに関する教育研究に取り組むこと、の3点を求めました。

その後、二度に亘り川口総長との懇談会を持ち、①についてはホームページから削除、③については川口総長も「強く同意する」とし、具体的な取り組みについて意見交換ができました。意見交換の結果は、常任理事会文書「ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みについて」(2014年7月16日)にまとまりました。

その後、広島大学で起こった事件に見られるように、大学をはじめとする教育機関に対する攻撃は続いており、このままでは、いつどこで同様の事件が発生しても不思議ではありません。
重要なことは、できるだけ多くの大学が「学問の自由を守り、ヘイトスピーチや差別言動を許さない」という明確な意思を示すことだと私たちは考えます。すでに悲劇的な事件を経験した立命館大学には、その先頭に立ち、学問の自由と学生・教職員の人権を守るために、毅然とした態度を明確に示し、あらゆる大学および大学人に連帯を呼びかけることが今こそ求められています。

私たち「要請書」呼びかけ人一同は、ここに「立命館・今に向き合う会(向き合う会)」を結成し、引き続き立命館大学に対して毅然とした態度を社会的に表明することを求めるとともに、教育の場におけるヘイトスピーチ、差別、人権侵害に向き合う具体的な取り組みを積極的に推進していくことにしました。7 月31日に発足集会を開きます。立命館大学の多くのみなさんに本会への賛同を呼びかけます。発足集会にも奮ってご参集ください

会の活動
1)立命館大学に対してヘイトスピーチやレイシズムを許さない毅然とした態度を社会的に表明することを求めます。
2)立命館大学の各機関におけるヘイトスピーチやレイシズムに向き合う具体的な取り組みを見守り支援します。
3)「向き合う会」として独自に学術企画や教育方法に関する研究活動を進めます。
4)ヘイトスピーチや差別、人権侵害に向き合う大学間連携を進めます。

                                                     2014年7月21日

「立命館・今に向き合う会(向き合う会)」呼びかけ人

勝村誠、絹川浩敏、崎山政毅、鄭雅英、冨田美香、中川成美、西成彦、山下高行(五十音順)

立命館・今に向き合う会 賛同者一覧

「立命館・今に向き合う会」発足集会への賛同者は以下の通りです。(五十音順・敬称略)

【法学部・法務研究科】植松健一、小堀眞裕、徐勝、堀雅晴、松本克美、宮井雅明、吉田美喜夫
【産業社会学部】木田融男、山下高行
【国際関係学部】中本真生子、南野泰義、森岡真史
【政策科学部】勝村誠、上久保誠人
【文学部】庵逧由香、伊勢俊彦、宇野木洋、加國尚志、崎山政毅、中川成美、畑中敏之、三須祐介
【映像学部】宋基燦、冨田美香、朴真理子
【経済学部】稲葉和夫、金丸裕一、齋藤敏康、佐藤卓利、高屋和子、藤岡惇、松尾匡、松野周治 
【経営学部】石川亮太、絹川浩敏、佐藤典司、鄭雅英、兵藤友博
【理工学部】池田研介、城戸義明、永井清、藤家雪朗、和田浩史
【生命科学部】武田富美子
【スポーツ健康科学部】三浦正行
【先端総合学術研究科】立岩真也、西成彦、吉田寛
【非常勤講師】池内靖子、高橋慎一、中倉智徳、橋口昌治、裵姈美、堀江有里、森類臣
(以上、55人)

広島大学「今を考える会」からの連帯メッセージ

7月31日の「立命館・今に向き合う会」発足集会に向けて、広島大学の「今を考える会」から連帯のメッセージをいただきました。本当に心強いことです。以下に全文を掲載しておきます。

------< 転載開始 >------

「今に向き合う会」のみなさまへ

この度は、「今に向き合う会」の発足、おめでとうございます。
広島から、心からのエールを送ります。

「今に向き合う会」。正直、最初は、「今を考える会」ととてもよく似ているので驚きましたが、勝村さんの言葉「広大の名称を真似ていますが、歩調を合わせたいという意思だとご理解ください」を読んで本当に感動しました。
わたしたちが目指してきた横の連携がこうして具体的な形で現れたのです。

勝村さんが「今に向き合う会」の発足の知らせとともに伝えて下さった、今月の立命館大学理事会の動きには、大きな可能性を感じました。わたしたちが直面している、今ここにある危機を逆転する可能性を。
立命館大学は来年度から、教養の授業やFDや講演会などを通じて、ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みを具体的に実践しようとしています。また、学生たちのSNSの使い方に関するモラルを向上する教育も。

わたしたち「今を考える会」は、立命館大学理事会ならびに「今に向き合う会」の動きに大いに触発されて、ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みを、ここ広島大学でも具体的に実践していきたいと思います。
勝村さんをはじめとする立命館大学有志一同の踏ん張りに敬意を表すとともに、具体的なビジョンを示してくださったことに感謝いたします。

「今に向き合う会」と「今を考える会」。

今後も連携を取りながら、今に向き合い、今を考え、わたしたちが望む今を、切り拓いてゆきましょう。
学生たちに伝えたい今を、残してゆきましょう。
言論統制が強まり、立憲主義が危機にされている今を、逆転してゆきましょう。

しかし、その前に、わたしたちには、やらなくてはいけない大きな仕事があります。大学を復活させることです。

周知のように、今回の産経事件を受けて、広島大学は、学問の自由を侵害されました。これは残酷で辛い出来事に違いありません。しかしもっと辛いのは、財政的な圧迫によって自治を奪われ続けるなかで、学問の自由が侵害されているだけではなく、じつは、その学問の自由を守るべき主体が沈黙させられているという事実でした。学問の自由を守るべき共同体としての大学が瀕死の状態なのです。

広島大学は学問の自由を守るための毅然とした声明をいまだに学外的に示すことができていません。大学は、自治の精神ばかりでなく、学問の自由を守ることに無自覚であったために、内側から学問の自由を破壊する危険に満ちているのです。

今回の産経事件を通して、わたしたちは、この厳しい現実を決定的に突き付けられました。しかし、一方で、いまだ学問の自由への希求は失われておらず、本来の姿である「自由で平和な一つの大学」を取り戻す勇気を得たことも事実です。

お陰さまで、「今を考える会」は、400人を超える賛同者を募ることができました。それぞれの賛同メッセージを読むとき、これは、ただの400人ではなく、人間的に熱く、濃く、様々なキャラクターを持つ400人です。

大学は復活できる。

大学は瀕死の状態であっても、死んだわけではない。抵抗があり、それが逆転に繋がり、復活を生む。わたしたちはそのことを確かめました。
勇気づけられるとともに、逆転を予感します。そして、その予感を実現させなければなりません。これが、わたしたちの今です。

これから、長い闘いになります。
共に、粘り強く、クールに、かつ大胆に、そして楽しく、闘いましょう。

本日は「今に向き合う会」の発足、本当におめでとうございます。

2014年7月31日
「今を考える会」呼びかけ人一同

------< 転載終了 >------

立命館大学「ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みについて」

                                                   2014 年7 月 14 日 常務会議
                                                   2014 年7 月 16 日 常任理事会
                                                   (報告:総務部)

                 ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みについて

 2013 年度後期の授業時間内において学生により署名活動が行われた問題と関連してヘイトスピーチによる人権侵害がネットを含めて発生しているとの訴えが出されてきた。
 この問題について常任理事会(2014 年 2 月 19 日)は、立命館憲章に照らさずともレイシズムやヘイトスピーチは許されるものではなく、いわんやインターネットの匿名性を利用した特定個人に対するそれは許されるものではないことを確認した。その上で、教育研究機関である大学として、立命館憲章の理念にのっとり、人権教育およびネットワーク利用におけるモラル向上等の課題について、これまでの教育実践等を踏まえた、より一層の取り組みについて、教学部門をはじめ全学において検討することとした。
 この課題について、いくつかの取り組みについては既に進められており、その概要について報告するとともに学園として一層の具体化を図ることを確認する。

1.取り組み計画および内容

(1)「未来を拓く 2015」発行に向けた取り組み(教学部)
大学入学直後の学生が直面するさまざまな問題を乗り越え、大学での学びを進めることを目的として編集している「未来を拓く」2015 年度版において、グローバル化等の社会環境変化とヘイトスピーチやヘイトクライム等の人権問題に関する内容を組み入れる。

(2)基礎演習等の小集団教育での取り組み(各学部)
この教育課題に対して「未来を拓く」等を活用して、各学部の基礎演習等において取り組む。

(3)FD活動での取り組み(教学部、各学部)
この課題は教育的課題であることに鑑み、FD懇談会等のテーマとしてこの問題および課題に関する正確な理解と教育実践を共有することを通して教育の質的向上を目指す。

(4)ソーシャルメディアの活用に関する教育的取り組み(学生部、情報システム部)
2013 年に学生に対して「SNS 利用にあたって知ってもらいたい5つのこと」を大学として確認し、これまで新入生を中心に配布し、教育・啓発に取り組んできた。本年 7 月に開催する「社会で、就活で役立つ SNS 講演会」(主催:学生部、共催:キャリアセンター、ハラスメント防止委員会)においては、就職活動の場面や実社会における SNS の活用状況と比較して、学生同志の SNS が抱える問題点を明らかにすることを目指している。また、SNS は特別な場ではなく、実社会と同様に倫理観や人権意識が重要であることを踏まえた講演会を実施する。

(5)生涯学習での取り組み(研究部)
2014 年 10 月の「土曜講座」において、ヘイトスピーチとレイシズムをテーマとした特別講演会の企画を検討している。

(6)職員研修(人事部)
社会が多様化する中での相互理解に関する内容を織り込んだテーマで夏期の職制研修を実施する。

2.ヘイトスピーチ等の被害への対応
 立命館大学ハラスメント防止に関する規程第二条(1)において、「ハラスメント」とは、教職員が他の教職員、学生もしくは関係者に不利益や不快を与える人権侵害の言動、または学生もしくは関係者が学生もしくは教職員に不利益や不快を与える人権侵害の言動をいう。と規定している。ヘイトスピーチ等による人権侵害の言動については、ハラスメント行為と考えられる場合もあり、その際にはハラスメント防止委員会として対処する。
 また、ハラスメント防止委員会としては、ハラスメントに関する研修において人権擁護に関する事項も含めた内容に随時変更を加えていく。

以上
会の目的

mukiaukai0731

Author:mukiaukai0731
①立命館大学に対してヘイトスピーチやレイシズムを許さない毅然とした態度を社会的に表明することを求めます。
②立命館大学の各機関におけるヘイトスピーチやレイシズムに向き合う具体的な取り組みを見守り支援します。
③「向き合う会」として独自に学術企画や教育方法に関する研究活動を進めます。
④ヘイトスピーチや差別、人権侵害に向き合う大学間連携を進めます。
【問い合わせ先】rits.mukiaukai.0731@gmail.com

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