共同通信社 2014年8月12日配信記事

教育現場を憎悪から守れ 立命館大教員らが会結成

 立命館大の教員8人が教育現場でのヘイトスピーチ(憎悪表現)を許さず、学問の自由を守ることを目指す有志の会を結成した。立命館大では今年、在日コリアンの女性講師がインターネット上でヘイトスピーチの攻撃にさらされる問題が発生。会は大学がこのような事態に際し、毅然(きぜん)とした態度を社会に表明することなどを求めていく。
 「大学はかくあるべきだという理念が消えつつある」「ヘイトスピーチの問題点を学生にどう教えたらよいか」。7月31日に衣笠キャンパス(京都市)で開かれた「立命館・今に向き合う会」の発足集会では、出席者から懸念の声が相次いだ。
 立命館大では作年12月、びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)での女性講師の授業後、学生団体が朝鮮学校の高校無償化を求める嘆願書を教室で配布。すると受講生とみられる人物が今年1月、署名を強要されたとの趣旨の虚偽の書き込みを講師の実名と共にツイッターに投稿した。
 その後、講師には「辞めろ」「日本から出て行け」などの中傷がネット上に相次いだ。これを受けて立命館大は「署名を求めたかのような誤解を与え不適切であり、講師を指導した」とする謝罪声明を出した。
 会の設立に携わった 立命館大の勝村誠(かつむら・まこと)コリア研究センター長は、声明が講師に対する激しい差別的攻撃に触れず、学内の討論もなく出されたことに「毅然とした対応をせず、大学のプライドを傷つけた」と批判する。
 雇用が不安定な非常勤講師らからは、歴史認識や植民地支配などのテーマを授業で扱って問題が起きたときに大学が守ってくれないのではないかという不安や、自主規制せざるを得ないとの声が寄せられたという。
 今年4月、授業中に慰安婦に関するドキュメンタリー映画を上映した広島大もネットで排外主義的な攻撃の標的となった。会は今後、他大学が被害に遭っても情報を共有し、支援できるよう関西大や同志社大の教員らとの連携も検討している。

広島大学「今を考える会」からの連帯メッセージ

7月31日の「立命館・今に向き合う会」発足集会に向けて、広島大学の「今を考える会」から連帯のメッセージをいただきました。本当に心強いことです。以下に全文を掲載しておきます。

------< 転載開始 >------

「今に向き合う会」のみなさまへ

この度は、「今に向き合う会」の発足、おめでとうございます。
広島から、心からのエールを送ります。

「今に向き合う会」。正直、最初は、「今を考える会」ととてもよく似ているので驚きましたが、勝村さんの言葉「広大の名称を真似ていますが、歩調を合わせたいという意思だとご理解ください」を読んで本当に感動しました。
わたしたちが目指してきた横の連携がこうして具体的な形で現れたのです。

勝村さんが「今に向き合う会」の発足の知らせとともに伝えて下さった、今月の立命館大学理事会の動きには、大きな可能性を感じました。わたしたちが直面している、今ここにある危機を逆転する可能性を。
立命館大学は来年度から、教養の授業やFDや講演会などを通じて、ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みを具体的に実践しようとしています。また、学生たちのSNSの使い方に関するモラルを向上する教育も。

わたしたち「今を考える会」は、立命館大学理事会ならびに「今に向き合う会」の動きに大いに触発されて、ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みを、ここ広島大学でも具体的に実践していきたいと思います。
勝村さんをはじめとする立命館大学有志一同の踏ん張りに敬意を表すとともに、具体的なビジョンを示してくださったことに感謝いたします。

「今に向き合う会」と「今を考える会」。

今後も連携を取りながら、今に向き合い、今を考え、わたしたちが望む今を、切り拓いてゆきましょう。
学生たちに伝えたい今を、残してゆきましょう。
言論統制が強まり、立憲主義が危機にされている今を、逆転してゆきましょう。

しかし、その前に、わたしたちには、やらなくてはいけない大きな仕事があります。大学を復活させることです。

周知のように、今回の産経事件を受けて、広島大学は、学問の自由を侵害されました。これは残酷で辛い出来事に違いありません。しかしもっと辛いのは、財政的な圧迫によって自治を奪われ続けるなかで、学問の自由が侵害されているだけではなく、じつは、その学問の自由を守るべき主体が沈黙させられているという事実でした。学問の自由を守るべき共同体としての大学が瀕死の状態なのです。

広島大学は学問の自由を守るための毅然とした声明をいまだに学外的に示すことができていません。大学は、自治の精神ばかりでなく、学問の自由を守ることに無自覚であったために、内側から学問の自由を破壊する危険に満ちているのです。

今回の産経事件を通して、わたしたちは、この厳しい現実を決定的に突き付けられました。しかし、一方で、いまだ学問の自由への希求は失われておらず、本来の姿である「自由で平和な一つの大学」を取り戻す勇気を得たことも事実です。

お陰さまで、「今を考える会」は、400人を超える賛同者を募ることができました。それぞれの賛同メッセージを読むとき、これは、ただの400人ではなく、人間的に熱く、濃く、様々なキャラクターを持つ400人です。

大学は復活できる。

大学は瀕死の状態であっても、死んだわけではない。抵抗があり、それが逆転に繋がり、復活を生む。わたしたちはそのことを確かめました。
勇気づけられるとともに、逆転を予感します。そして、その予感を実現させなければなりません。これが、わたしたちの今です。

これから、長い闘いになります。
共に、粘り強く、クールに、かつ大胆に、そして楽しく、闘いましょう。

本日は「今に向き合う会」の発足、本当におめでとうございます。

2014年7月31日
「今を考える会」呼びかけ人一同

------< 転載終了 >------

立命館大学「ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みについて」

                                                   2014 年7 月 14 日 常務会議
                                                   2014 年7 月 16 日 常任理事会
                                                   (報告:総務部)

                 ヘイトスピーチ等差別的言動防止に関する取り組みについて

 2013 年度後期の授業時間内において学生により署名活動が行われた問題と関連してヘイトスピーチによる人権侵害がネットを含めて発生しているとの訴えが出されてきた。
 この問題について常任理事会(2014 年 2 月 19 日)は、立命館憲章に照らさずともレイシズムやヘイトスピーチは許されるものではなく、いわんやインターネットの匿名性を利用した特定個人に対するそれは許されるものではないことを確認した。その上で、教育研究機関である大学として、立命館憲章の理念にのっとり、人権教育およびネットワーク利用におけるモラル向上等の課題について、これまでの教育実践等を踏まえた、より一層の取り組みについて、教学部門をはじめ全学において検討することとした。
 この課題について、いくつかの取り組みについては既に進められており、その概要について報告するとともに学園として一層の具体化を図ることを確認する。

1.取り組み計画および内容

(1)「未来を拓く 2015」発行に向けた取り組み(教学部)
大学入学直後の学生が直面するさまざまな問題を乗り越え、大学での学びを進めることを目的として編集している「未来を拓く」2015 年度版において、グローバル化等の社会環境変化とヘイトスピーチやヘイトクライム等の人権問題に関する内容を組み入れる。

(2)基礎演習等の小集団教育での取り組み(各学部)
この教育課題に対して「未来を拓く」等を活用して、各学部の基礎演習等において取り組む。

(3)FD活動での取り組み(教学部、各学部)
この課題は教育的課題であることに鑑み、FD懇談会等のテーマとしてこの問題および課題に関する正確な理解と教育実践を共有することを通して教育の質的向上を目指す。

(4)ソーシャルメディアの活用に関する教育的取り組み(学生部、情報システム部)
2013 年に学生に対して「SNS 利用にあたって知ってもらいたい5つのこと」を大学として確認し、これまで新入生を中心に配布し、教育・啓発に取り組んできた。本年 7 月に開催する「社会で、就活で役立つ SNS 講演会」(主催:学生部、共催:キャリアセンター、ハラスメント防止委員会)においては、就職活動の場面や実社会における SNS の活用状況と比較して、学生同志の SNS が抱える問題点を明らかにすることを目指している。また、SNS は特別な場ではなく、実社会と同様に倫理観や人権意識が重要であることを踏まえた講演会を実施する。

(5)生涯学習での取り組み(研究部)
2014 年 10 月の「土曜講座」において、ヘイトスピーチとレイシズムをテーマとした特別講演会の企画を検討している。

(6)職員研修(人事部)
社会が多様化する中での相互理解に関する内容を織り込んだテーマで夏期の職制研修を実施する。

2.ヘイトスピーチ等の被害への対応
 立命館大学ハラスメント防止に関する規程第二条(1)において、「ハラスメント」とは、教職員が他の教職員、学生もしくは関係者に不利益や不快を与える人権侵害の言動、または学生もしくは関係者が学生もしくは教職員に不利益や不快を与える人権侵害の言動をいう。と規定している。ヘイトスピーチ等による人権侵害の言動については、ハラスメント行為と考えられる場合もあり、その際にはハラスメント防止委員会として対処する。
 また、ハラスメント防止委員会としては、ハラスメントに関する研修において人権擁護に関する事項も含めた内容に随時変更を加えていく。

以上

立命館大学に声明文の撤回とヘイト・スピーチへの毅然たる対応を求める要請書

立命館大学に声明文の撤回とヘイト・スピーチへの毅然たる対応を求める要請書

 2014年1月10日から立命館大学で授業を担当している在日朝鮮人教員(嘱託講師)に対してネット空間で攻撃の嵐が吹き荒れた。併せて立命館大学に対しても激しい誹謗中傷が繰り広げられた。

 立命館大学はこの事件について、1月15日の午後、大学のホームページ上に「授業内における学生団体の要請活動への本学嘱託講師の対応について」との声明文(以下、声明文とする)を公開し、同文を全教職員にも一斉送信メールで連絡した。その内容は、事実関係の確認結果とそれに対する対処の報告であったが、併せて「結果として」「誤解を与え」たことは「大学として不適切であった」として講師を「指導」したうえで、社会的に「お詫び」した。しかしながら、ネット空間における攻撃によって引き起こされた問題については一言も触れず、大学としての矜持を自ら傷つけた。

 私たちは、立命館大学がまず行うべきだったことは、①被害を受けた講師に対するサポート・ケア、②広く学生に対する納得のいく教育的・倫理的指導、③大学として社会的にヘイト・スピーチを許さず、教育研究の自由を守ることを毅然と宣言すること、の3つであったと考えている。このたびの事態に直面して、立命館大学が毅然とした姿勢を貫ききれなかったことは残念でならない。

 私たちは、立命館大学に対して、早急に声明書を撤回し、改めて毅然とした態度を表明すること、併せて、立命館大学が留学生をはじめとするあらゆるマイノリティが安心して学べる学園の環境づくりに努力してきたことに鑑み、再び名誉と信頼を取り戻し、学生とともにレイシズムやヘイト・スピーチについて深く考える教育研究に取り組むことを求めるものである。

                                                2014年2月12日

立命館大学 学長  川口清史 様

    秋林こずえ、勝村誠、絹川浩敏、崎山政毅、鄭雅英、冨田美香、中川成美、西成彦、山下高行

立命館大学に声明文の撤回とヘイト・スピーチへの毅然たる対応を求める要請書

2014年1月10日から立命館大学で授業を担当している在日朝鮮人教員(嘱託講師)に対してネット空間で攻撃の嵐が吹き荒れた。併せて立命館大学に対しても激しい誹謗中傷が繰り広げられた。

立命館大学はこの事件について、1月15日の午後、大学のホームページ上に「授業内における学生団体の要請活動への本学嘱託講師の対応について」との声明文(以下、声明文とする)を公開し、同文を全教職員にも一斉送信メールで連絡した。その内容は、事実関係の確認結果とそれに対する対処の報告であったが、併せて「結果として」「誤解を与え」たことは「大学として不適切であった」として講師を「指導」したうえで、社会的に「お詫び」をした。しかし、ネット空間における攻撃によって引き起こされた問題については一言も触れず、大学としての矜持を自ら傷つけた。

私たちは、立命館大学がまず行うべきだったことは、①被害を受けた講師に対するサポート・ケア、②広く学生に対する納得のいく教育的・倫理的指導、③大学として社会的にヘイト・スピーチを許さず、教育研究の自由を守ることを毅然と宣言すること、の3つであったと考えている。このたびの事態に直面して、立命館大学が毅然とした姿勢を貫ききれなかったことは残念でならない。

私たちは、立命館大学に対して、早急に声明書を撤回し、改めて毅然とした態度を表明すること、併せて、立命館大学が留学生をはじめとするあらゆるマイノリティが安心して学べる学園の環境づくりに努力してきたことに鑑み、再び名誉と信頼を取り戻し、学生とともにレイシズムやヘイト・スピーチについて深く考える教育研究に取り組むことを求めるものである。

                                                        2014年2月3日

立命館大学 学長  川口清史 様

              秋林こずえ、勝村誠、崎山政毅、絹川浩敏、鄭雅英、冨田美香、西成彦、山下高行
会の目的

mukiaukai0731

Author:mukiaukai0731
①立命館大学に対してヘイトスピーチやレイシズムを許さない毅然とした態度を社会的に表明することを求めます。
②立命館大学の各機関におけるヘイトスピーチやレイシズムに向き合う具体的な取り組みを見守り支援します。
③「向き合う会」として独自に学術企画や教育方法に関する研究活動を進めます。
④ヘイトスピーチや差別、人権侵害に向き合う大学間連携を進めます。
【問い合わせ先】rits.mukiaukai.0731@gmail.com

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